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春の手紙
手紙が好きだ。ポストに自分の名前が手書きされた封筒やはがきが入っていたら、きっとだれもがこころ踊ると思う。
メールなどではなかなかここまでうれしくはならないと思う。

〇白い手紙がとどいて明日は春となるうすいがらすも磨いて待たう 斎藤史

春は手紙がいちばんしっくりくる季節ではないだろうか。春は草木が芽吹き、色のなかった季節にいっせいに色彩が生まれる季節。あたらしい何かが届く、はじまる、動き出すという手紙のイメージと重なる。「白い」手紙、「うすいがらす」というひらがな表記が清浄でみずみずしい感じがする好きな一首だ。

手紙は、よく書く方だった。中学生の時、重い病気で一年間病院のベッドの上で過ごした。携帯電話などないころだったから、外の世界とやりとりするには手紙を書くしかなかった。その一年間に書いた手紙、受け取った手紙は大きな段ボールにいっぱいの分量ほどだ。

〇果てしなき未来を載せむ一通の手紙の白さ朝にかがやく 美衣

そのころに作った一首。はっきりと認識はしていなかったが、そのころわたしにとっての手紙は外へのパスポート、未来への切符のようなものだったと今では思う。

仕事に、子どもたちの世話に、家のことと毎日ばたばた過ごしている今は、なかなか手紙を書く余裕がない。最近はもっぱらはがきを書くことが多くなった。はがきはほんの数分で書けて、それ一枚で出せるから気軽である。

はがきは学生のころから鳩居堂のものを愛用している。季節の草花をシルクスクリーンでうつくしく描いたシリーズばかり以前は愛用していたが、最近気に入っているのが簡素に枠と罫が入っただけのもの。罫の色が何種類もあり、季節や気分や宛先によって「今日はこの色にしよう」と選ぶひそかな楽しみもある。絵がないので文字もたっぷりかけるのもうれしい。