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蟻たちの夜
普段は夕ご飯を作り終え、子どもを風呂に入れると体中の力が抜けてしまって、子どもを寝かしつけながら眠ってしまうことが多い。朝まで起きることなどほとんどないが、どうした加減か夜中にはっと目が覚めてしまうことがある。

勿体ないので、しばらくは寝ようと努力する。努力しても眠りのふちにうまく足を踏み入れなさそうなときには、もうあきらめてベッドヘッドの明かりをつけて、本を開く。あるときには、わたしの好きな雑誌monkyのジャック・ロンドン特集の号のなかの犬の小説を読みだしたら止まらなくなり、しらじらと夜が明けてしまったこともある。

普段寝ていて気付かないが、夜にもいろんなものが動いて、音を発していることに気づく。窓が鳴る、がたっという音。風の音。遠くに走り去る車の音。そのほかよくわからない音。

布団をかぶってじっとしていると、自分自身も夜の一部になったようだ。窓の外に何か物音がするとすこし怖くなり、足先を布団から出さないように気を付ける。3時半ごろ新聞配達のバイクの音が聞こえたら、もう夜はおしまい。闇はうすずみになり、やがて見慣れた朝がやってくる。

〇蟻たちが砂粒ひとつひとつ運ぶ歩みの音の鳴りやまぬ夜 美衣