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言葉の森であそぶ
本が好きだなあ、と思う。本好きにもいろいろあるのかもしれないけれど、わたしの場合は「言葉」、「文字」が好きだ。

町を歩いていても、面白い看板や表札をつい見つけておかしがる。お菓子を食べると、裏側の文字のならびを眺める。ごはんを作りながら、眠る前のふとんの中でも、電車でも本を読む。

いまさらながらで大きな声では言えないが、少し前に広辞苑を買った。これが読み物としてめっぽう面白い。よいしょ、と開いたページの目についた言葉を読む。今度はその前後の言葉を読む。知らなかった言葉があったり、知っている言葉も生真面目な説明を読むとおかしくて、ところどころ入っている挿絵も間の抜けた感じが、作っている人も面白がってやっているように思える。

面白いと「ねえ、ねえ」と近くにいる子どもや夫を呼び止めて、面白いところを読んで聞かせる。わたしのそういうことに慣れている家族は適当にふん、ふんと聞いてどこかにいってしまうので、ひとりごとなど言ってみる。子どもを寝かせた後、食卓に分厚い広辞苑をよいしょと開くのは、わたしの一人遊びだ。古くから人々に使われてきた言葉、新しく生まれた言葉、土地土地で生まれた言葉。辞書という本は、たくさんの色合いや手触りの言葉の森である。

〇灯の下に辞書を開きしゆふまぐれ言葉の森にわれはあそびき 美衣