<< February 2020 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 >>
<< 冷蔵庫に貼ることば | main | 言葉の森であそぶ >>
スターバックスと坊さん
スターバックスに坊さんがいた。カウンター席にくつろいだ様子で腰を掛けて、飲みもの片手にノートパソコンを開いている。20代とおぼしい若者で、組んだ脚の足袋の白さが目にしみる。

わたしは少し離れた席で坊さんの様子が気になって、ときどき眺めてしまう。店内の他のお客さんはまったく目に入らないようで、笑いあったり、手元の本に夢中になっている。

電車に乗ったとき、道を歩いているとき、その日のスターバックスのような場所で、わたしはおそらくその時、その場所でしかすれ違わないであろう人を眺めるのが好きだ。どこに住んでいて、どんな仕事をしているのか、家族は何人か、どんな食べ物が好きか、これまでどんな人生だったのか。そんなことを考えると知らない人々はただの風景でなく、生き生きとしたひとりの人として目の前に存在してくる。

わたしが想像した、スターバックスの坊さんの人生。子どもの頃から野球が好きで、甲子園を目指してきた。高校の時肩を壊してしまったが、大学でもずっと好きな野球は続けてきた。商社に就職したが、次第に仕事がつまらなくなってしまった。そんなある日に近所の寺の住職に、坊主にならんかとすすめられた。坊さんなんて、と一笑に付したが何日たってもそのことが頭からはなれなくなってとうとうお坊さんになった。

坊さんスタイルもファッションとして結構気に入っている。facebookで坊さんの毎日を書き込むのも面白いと評判だ。母親は商社をやめたことを今でも残念がるが、妹は面白がっている。実家に犬が一匹。ねぎとサーモンの刺身が苦手。以上。

毎日の生活には、面白いことがたくさんある。わたしは面白いことをみつけては、面白がって日々を過ごしたいと思う。死ぬ時まで面白がっていたい。

〇坊さんがチャイ飲む春のスタバかな 美衣