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あたらしい急須
あたらしい急須を買った。
毎朝のお茶を飲んだ後に、急須を片付けていてどこをどうしたか持ち手のところがぽきりと取れてしまった。4、5日は小鍋で湯を沸かしてそこにお茶っ葉を入れて、茶こしで漉してしのいでいたが、いそいそとあたらしいものを購いに出かけた。

行くのは迷いなくおとなり鎌倉のもやい工藝だ。初めて行ったのは10年以上も前だと思うが、初めて行ったときにはあまりに好きな物がたくさんあって、その日の晩に熱を出した。
10年かけて少しずつ好みの物が集まり、今では家族のお茶碗も、新年にあたらしくする漆のお箸もみんなここのものになった。

せっかちで粗忽なせいで皿や茶碗の類いを割るのはしょっちゅうで、割ってしまうと残念に思うのだが、また気持ち新たにつぎの物を選ぶのはやはりたのしいものだ。

大降りの土瓶という風体の物、華奢なもちての物、しずかな店内をゆっくり巡りながら眺めて、最後の最後に好みの物を見つけた。やや青みがかったうすい灰色のもので、急須というよりもポットという風情だ。昔読んだ向田邦子のエッセイに「見た瞬間に首筋がすうっとしたら、誰がなんと言おうとわたしにとっていいものだ」というようなことがあったが、この急須をみたら確かに体のまんなかの当たりがすうっとした。

ぶつけてしまいそうなデザインの注ぎ口や、決して洗いやすそうではない大きさ、茶殻の始末がしにくそうだといういくつもの難点が頭をかすめたものの、迷いなくこれに決める。
丹波の方のもので、年末に倒れてしまって実はこれが最後の一つの作品だと聞いた。

台所のよい場所において料理をしながら眺め、いつもよりゆっくりお茶を入れて楽しんでいる。