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かたまりのバタ
トーストには、ママレードが好きだ。
パンは8枚切りくらいの薄めのものを、少し焼き色を強めにかりっと焼いて、ふちのぎりぎりまでママレードを塗り広げるのが常だ。

ところが、どういうわけか今日はどうしようもなくバタが食べたくなった。
バタートースト、などどいう生易しい物でなくて、しっかりと固まりのバタである。
普段のように8枚切りのパンを少し強めにトーストする。そこに厚さ5ミリほどの分厚いバタをいくつも載せて食べる。

パンはカリカリしていて熱く、でもその上のバタはひんやり冷たいままだ。喉を滑るとき、バタはたちどころに風味だけ残して消えてゆき、バタはこうやって食べるのがいちばんおいしいと思う。この場合のパンは、バタを載せるための役割くらいで、いかにも食べているのはバタなのだ、という気持ちがする。

バタを載せたトーストをすいすいと2枚食べて、紅茶を飲んで、森茉莉のような気分になる。
誰かとともに食べるためのごはんもいいが、一人でそのときの気分ひとつで好きな物を用意するのは楽しい。バタをどんなに分厚く使っても誰にもとがめられない大人っていいものだ。