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草むしり
 赤ん坊との暮らしは、とかく細切れの時間の集まりだ。
洗濯物を干し終えるまでに何度も家の中に呼び戻され、運動靴を両足分いっぺんに洗えない、書こうと思って書きかけの手紙は1週間もそのまま、などということが毎日のすべてだ。その合間に何度ものおむつかえと授乳があるのだから、めまぐるしいことこの上ない。

小さな家のなかを赤ん坊を抱いてうろうろしていると、なんだか自分の体のなかでちいさなボールをくるくるまわしているだけのような気持ちになってくる。そんなときはデッキにベビーチェアを持ち出して、子どもを座らせてから草むしりをすることにしている。

土のある場所に雑草の生えてくる速度の速いことと言ったら驚くばかりで、あっという間に庭は雑草の天下になってしまう。素早く園芸用てぶくろをはめて、一心に草をむしる。
草はむしりだすと次から次へとむしるべき次の草が目に飛び込んできて、ただただ心も体も目の前の草に集中する。

椅子に座った子どもも、草をむしるわたしを眺めたり、どことはなしに景色に目をやったりしながらしばらくは外を楽しんでいる。首筋にむっとした草いきれを感じ、汗ばんでくる頃、むしった草はちょっとした小山をなしている。

ふん、ふん、という声を赤ん坊が上げ始め、わたしは腰をのばして抜いた草を袋にまとめる。
時間にしてほんの15分くらいだろうか。最近のこの時間は、一人を楽しむ時間、一人を確かめる時間になっている。